miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

物理のモノ、数学のコト

 湯川秀樹博士は自伝の「旅人」で、高等学校時代に数学と物理の選択に迷い、結局、物理を選んだいきさつを書いている。一つ一つ脱線せずに積み上げていく数学のアブローチ方法を敬遠し、物理を選んだらしい。厳密な理論と、自由な発想の物理との相性が、後のノーベル賞に結び付いたようだ。
 以前このブログに書いたモノとコトに準えれば、数学も物理も「もの」と「こと」の両面があるが、物理はよりモノの要素が強いといえようか。モノとして世界を動態的に捉える物理には飛翔する発想が強い武器となる。
 湯川秀樹がもし数学を専攻していたらフィールズ賞をとっていただろうか。数学には新分野を開拓する学問という貌もある。レネ・トムはカタストロフィー理論で連続が破局する世界を描写した。グロタンディークはスキーム理論で、それまでの代数幾何学を大幅に書き直したという。「佐藤の数学」で知られる佐藤幹彦は、数学を“作る”数学者として知られている。
 もし湯川博士が数学を専攻していたら、その数学は既存の数学の間を架橋するような理論だろうか。

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