miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

アメグラの境遇

 昨日、BSで「アメリカングラフィティ」を流していて、二年ぶり位に観た。話もセリフもしぐさも判っていたが楽しめた。アメリカの片田舎の高校生の、昼過ぎから翌朝までの出来事を描いていている。翌朝には旅立ちであり、別れの前夜の、成長物語「イニシエイション・ストーリー」である。映画の最後に、最後に主演4人の数年後の姿が静止画で紹介されるから「グラデイエイション・ストーリー」にもなっている。こういうエンディングが一時流行って、「アメグラ式」とか呼ばれている、と50年くらい昔、高島忠雄がゴールデン洋画劇場で言っていた。
 十数回も観ていると、手法は斬新でも、エンディングのその後の境遇が常套的に思えてくる。あまりにそれっポ過ぎるのである。カーマニアが「酔っぱらい運転に巻き込まれて死ぬ」、ドジなメガネ君は「ベトナム戦争の激戦地で行方不明になる」、真面目でオーソドックス君は「故郷で保険の外交員」、奨学金の秀才ボーイは「カナダで作家」。キャラクターの延長である。

 コルタサルの「石蹴り遊び」は、文の読み順を変えて二通りの読み方がある。「アメリカングラフィティ」のエンディングを四人でシャッフルすると、24通りか12通りの運命の組合せがある。誰それのその後と特定せずにテロップで流す。カーマニア ジョンのカナダ在住作家は想像しにくいが、SNSやブロガーならば胸に落ちる。男は配られたカードで勝負する。カードは勝負ごとに配られる。

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