サイズと愛好、ふたつの傾向

　ミニカーには、1/50、1/40、1/30など、さまざまな縮尺がある。1/30のモデルは、大き目なだけに凝った作りが多く、出来は良いが、人気がない。要するに、大きすぎて“おもちゃ”になってしまうのである。ミニチュアかおもちゃかという分類はマニアには大切である。サイズと嗜好の関係は面白い。

　愛玩や愛好に二つの傾向が観察される。
　一つ目は、根付、鍔、ミニカーなど、手のひらや懐に入る品への嗜好である。対するは、掌には収まらない物全般への愛好で、枚挙に暇がないが、絵画、焼き物、刀剣、家具などが挙げられる。なかでも車（実車である）に始まり、壺や甕、200号大の大作絵画など、中に入れる、入っていけるイメージを抱かせる品々は、前者と好個の対象をなす。
　
　整理したいのは、愛玩や愛好つまりリビドーの発現形態が、“包摂” と “囲饒” にカテゴリー化できはしまいか、という事である。上手に掘り下げれば、フロイトやユングの心理学にまで、行きつけるかもしれないが、ぼつぼつお気に入りのミニカーを弄りたくなってしまった。

　　スカイライン2000ＧＴ 1/40