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閑長のひとり言

閑長のひとり言

われら、そば蛮族

 そばの最初の一たぐりを、汁につけずそのまま食する光景を目するが、そば湯でそばを啜ると、香りも味もそばに浸れる。汁の合間に、そば湯で啜る。これが閑長のそば食の流儀である。そばもそば湯も少なめがいい。
 古代の遠征記を記した書で、今に忘れない印象を受けた下りがある。辺境の蛮族が、ぶつ切りにした野牛の肉を、そのデカイ胃袋に水と入れ、しかも当の牛の骨を焼いて煮て食う、というのである。「おのれの骨をもって、我とわが身を煮られるのである・・」と、野牛の心境を察した一文が添えてあった。

 そば湯でそばを食するのもそれと同じでは、と新そばを啜りながら思って、数十年も前に味わった諧謔味をニタ付きながら反芻した。
 
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 出典はプリニウスアレキサンダーか、あるいは年代記か、あれこれ探したが、見つけ出せなかった。