miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

侘助のこころ

 二十年ほど前、単身赴任先で、椿なら白の一重がすきだという人に会った。あとでわびすけ(侘助)という種類と知った。五月頃にいい香りで咲く白い筒形の花を忍冬(にんどう)と教えてくれたのもその人だった。

 わが家のは、どこにもある芦原という赤の二重で椿である。植わっている場所の陽当たりや水掃けがよくないのか、数年前に枯れかけたことがあって、以来、樹勢を気にかけてきた。何時だったか、蕾をたくさん付けて、これを皆咲かせたら、さぞ体力を損なうだろうと、たわわに生った蕾をたくさん捥いだことがあった。白状すると百個以上も捥いだ。これで楽になったろうと思うのも束の間、椿は同じ場所にふたたび蕾をつけて、花を咲かせた。二倍の労力を掛けさせて実に気の毒に思った。

 植木屋さんに言わせると、草木は毎日見てやって、愛しんでやるとそれだけ美しく咲くという。植物の心理学という学問分野もあると聞くが、学問の話ではない。

 とまれ、木々の好きにしてやるのが一番と学んだ。木も人も、成る様にしてなったのが本当であり、本質なのだ。
 
  花落とし、散りしつばきの 男振り

 詠み人は忘れたが、女の俳人である。

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