閑長のながい話
子どものころから物語が好きで、本をよく読んだ。家には子供の本が数冊しかなかった。文学全集をもつ友が羨ましかった。
小学校に上がる前、大きな借家の縁側で「話をしてほしい。長い話を聞かせて欲しい」と祖母にせがむと、しばらくして「昔むかし、あるところに長い、ながい竹がありました」と、話してくれた。物語はこれだけだったが、五十年以上たった今でも忘れられず、折につけあの日のことを思い出している。
子どものころから物語が好きで、本をよく読んだ。家には子供の本が数冊しかなかった。文学全集をもつ友が羨ましかった。
小学校に上がる前、大きな借家の縁側で「話をしてほしい。長い話を聞かせて欲しい」と祖母にせがむと、しばらくして「昔むかし、あるところに長い、ながい竹がありました」と、話してくれた。物語はこれだけだったが、五十年以上たった今でも忘れられず、折につけあの日のことを思い出している。