閑長は愛犬家

　オードリー・ヘップバーンとピーター・オトゥールの「おしゃれ泥棒」の冒頭で、オークションでご婦人の抱いた犬の鳴き声をビットとして扱ってしまうシーンがあった。すぐに勘違いを正してオークションは進むのだが、オークショニアの立ち振る舞いが普通すぎて、物足りなかった。ウィットの利いたコメディタッチの映画なのだから、「お目が高い」などと、お道化てみせて見せ場にしてほしかった。何年振りかで「おしゃれ泥棒」を再鑑賞した際の、ささやかな所感である。