閑長の還り路
「出発点を旅立って、再び元の場所に戻ったとしても、それが人生、決して無駄ではない」
思い出すたびに救われる気持ちになる詩句である。昭和30年に平成30年を重ねて・・いよいよ第四コーナーを迎える今の私に相応しい。
そんな折、この詩句を体現しているような作品に巡り合った。
一見、フォンタナか前川強作品を想起させるこの作品。素材は軟かそうでいて金属のように勁く、棘々しているようで滑らか。行き(右側)はインディゴブルー、帰り(左側)はえんじ色なのが、象徴的。人生や事物の往還を体現しているかのようである。
詩はヘルダリーンの「人生の道筋 Lebenslauf」
シルクの作品は甘利日左子「行きと帰り」