miyukie33ok’s blog

閑長のひとり言

閑長のひとり言

2021-08-01から1ヶ月間の記事一覧

怪談男

夏の読書スペースとして、階段は実にいい。 腰を掛けられる、階段窓から冷風がふきこむ(階段風は心持ち涼しい)、読みかけ本と読了本を踏み面で別けられる、らせん形状なら壁が背もたれとなる・・。 ところで阿部公房の「箱男」には庇による“雨仕舞”の方法が…

窓と窓の向う側

早逝の洋画家小松良和の作品には “ 片身代り ” 的『構造』がみえる。画家が片身代りで表現したものは、不可視的なもの、あるいは存在と隣り合う非在的なものへの憧憬と思う。本稿では、昨日のフェイスブックでは書き尽くせなかった印象を書きたい。 画家の描…

風に語る

蝉鳴くや つくづく赤い風車 ふるさと信濃の俳人 小林一茶の句。“つくづく”が効いている。 赤は信濃的な色である。赤は土の色であり、むき出しの土地の色だから。山に囲まれ、川に恵まれた長野県は、崖や河岸が随所にみられる。そこはむき出しの土地に出会う…

若豹でした

TOHOシネマで「孤狼の血 Level 2」を観てしまった。 松坂桃李の日向刑事を半熟に描いて評価。三年で一人前は早すぎる。 鈴木亮平は耳まで演じ切る凄みで85点。 元公安デカの中村梅雀の裏切りはヤッパシか・・で加・減点なし。 ラストの両雄対決はドラマ…

そんざいとぞんざい

令和の今はどうか知らないが、30年くらい前まで、20世紀最大の哲学者はハイデガーで、最高の哲学書といえば「存在と時間」だった。これは多分に、大戦後の気運と風潮を映じた著作であり、評価だったと思う。閑長の管見である。 さて、「存在と・・」で始まる…

往く夏を

蝉は早起きで、四時台から鳴いている。 夏を惜しむかのようで、つい木立を見上げてしまう。 姿は見えないが、葉のそよぎをみつめている。この声、いつまで聞けるのだろうか。 蝉の幼虫期間は3~17年というけれど、 かれらの娘や息子たちとまみえることはある…

弁識

トルストイ「戦争と平和」のラストは「我々は平素、地球の運動を感じてはいないが、だからと言って自由だと思えば ナンセンスになる。だが、束縛をみとめれば法則に達する」と締め括られる。人類の誇り、壮大な叙事詩らしい。無宗教の閑長であるが「従属」は…

ガッシ

BSのリバイバル放送で朝のテレビ小説「あぐり」が流れてい、森本レオ演ずる森潤なる風来文士が登場する。ドラマでは、戦時中、一旦姿を消していたが、また大陸から舞い戻っている。この人のモデルはダダイスト辻潤で、終戦の前年初冬、アパートで餓死して…

転居先

お隣の国々による度重なる取り決めの反故や無理難題、ちょっかいに出くわす度、ウチのかみさんなどは “ 国ごと引っ越せないかららね・・ ”とぼやく。これぞ地政学の “ 学 ” たる所以なのだろうが、もしホントに国の引っ越しができるとしたら、南半球はオ―ス…

アニメイトされるのは・・

I'm animated with hunger. Seemingly I musn't eat. 「嵐が丘」のヒースクリフの言葉である。じつに彼らしい。 はて、自分に引き比べて「hunger」に代わる語を入れるとすると、 やはりhunger、そしてliquer、さらにanger、hatredとなるか。 「eat」もそれに…

肝の太さと尻尾の太さ

毎朝、健康維持のためウォーキングをしている。負荷のため坂道ダッシュを三本組入れている。近くの小学校の鉄棒で、懸垂20回を二セット、バック走行二本、サイド走行を左右一セットずつ組み込んでいる。還暦の冷や水である。 歩いていて時折、野生動物に出く…

鳴けよ鳴け

蝉の声が好きである。どんな曲よりも癒され、元気づけられる。CDを探したことがある。未だに巡り合わない。 七月の蝉はよい。八月の蝉は、元気で勢いがあるほど、うら寂しくなる。 蝉鳴くや つくづく赤い風車 小林一茶 蝉の次には白い風が吹いてくる。

ウイスキー、相性ふたつ

ウイスキー好きである。ブレンドではジョニ黒とワイルドターキー、シングルモルトではマッカランとラフロイグ。 この組合せ、正統と異端に近いがズバリではない。直球と変化球と云えなくもないが少し違う。散文と韻文では益々離れてしまう。ともかくこの取り…

薬と変異と

医学、免疫学の専門家ではないが、そもそもワクチンを二度、接種するということは、経時的な逓減を意味しているように思う。そうとすれば、三度目の接種が必要となるのは当然で、もしかすると追加し続ける必要があるのかもしれない。俟たれるのは治療薬だが…

Y字の由来

都市計画が先にあれば、道は平安京のようにマス目になるか、パリのように放射線状なるか、であろう。また最初から目的地が違えば、それぞれ別の道となるだろう。Y字路が産まれるのは何らかの後発的な由来が必要である。そこに謂われや来歴、いきさつが生ず…

Yの歴史

朝、ウォーキングをしていて道の成り立ちを思うことがある。Y字路の場合に多い。 丁度、坂道を登り切ってこれからダッシュという時、呼吸を整えるのに立ち止まって振り返るとY字路がある。左側の道が町中に向かい、右側は街道に向かうと思われる。おそらく…

憑依の瞬間

「孤狼の血 レベル Ⅱ」の封切りは来週の金曜、その前に書いておきたいことがある。 前作「孤狼の血」のラスト近く、煙草の煙を吐き出しつつ日岡刑事が「あぁ、吸うとったわ」と呟くシーンがある。ライターは大上刑事の遺品である。大上の“狼”が日岡に乗り移…

お盆が来れば

古代ペルシャのレリーフにライオンが牛に乗り掛かり噛みつく作品があって、夏が冬を淘汰する様子を描いていると解釈されている。 閑長はお盆の起源を思うにつけ、夏から秋への移り変わりの覚悟と準備を促す節句と思っている。時の潮目を示唆して、厳しい季節…

ルパン対ホームズ

子供の頃、探偵・冒険小説好きだった閑長は、贔屓はルパンで、ホームズは敬遠だった。今思えば活劇が好きで、風俗や大人の嗜好を解する知識がなかった。今、ルパンを再読する気にはならないが、ホームズは時折、繙いてみたくなる。ジェレミー・ブレットのホ…

貴物・・

名古屋の河村たかし市長に噛みつかれた金メダルが交換されるという。 JOC事務局が一旦は「交換対象に非ず・・」との見解を出したが、世論に押されたものか。 さて、当該行為は十分に刑法261条の器物損壊罪に該当すると思う。 たとえ、歯形が付かなくとも…

定義違えば・・

水野和夫の「資本主義の終焉と歴史の危機」(2014年)は好著と評判で、榊原英資や佐藤優、中谷巌など、名立たる読み手、書き手が賛辞を寄せている。 肝となる立論は存外単純である。 「中心」と「周辺」からなる資本主義は、物理的な「周辺」である新興国と、…

世につれ歌につれ

梶原一騎と阿久悠の作はボキャブラリーでわかる。 講談的で、学生運動のアジテーション似で、一言にすれば男の子的である。「男」と「子」の両方にテンションがある。 昔、梶原作品を負け犬の話といった学友がいた。負けは負けでもやせ我慢の負けである。 阿…

懸腕直筆の語釈

辞書蒐集・研究家の「ながさわ」氏による「比べて愉しい国語辞典 ディープな読み方」は国語辞典を色々な角度と視点から掘り下げ、切り結んでいる。著者架蔵の辞書は1,000冊に及ぶという。 1,000冊という分量は、50種の異なる国語辞典を、版違いと刷違いでそ…

偶然と祭典

球技は偶然性に大きく左右されるから五輪に相応しくないと思っていた。もう一度勝負したら結果が変わるかもしれない。その可能性が他競技よりずっと高い。 この思いは基本、今もは変わらない。しかし、五輪を“場所”と考えれば競技を狭める必要はなくなる。お…

令和30年 - スポーツの余波と余慶

オリンピックのスケボー競技で、選手同士がチャレンジを賞賛し合う姿を見て、21世紀のスポーツは、競技から賛技へ、勝利から賞賛へ、敗北から激励に様変わりする予感がした。スポーツ全般の方向転換なのか、分岐なのかは予想がつかない。スポーツの様変わり…

カタカナとなって・・

清水希容の空手・形の銀メダルで、空手は一段とKARATEになった。 清水の敗けっぷりもじつに美しかった。 前回東京五輪の柔道無差別級、ヘーシンクに敗れた神永選手にかけた松本安市監督の一言が思い出される。「勝ったのは柔道だ」

詰まない王手は一手損

叡王戦二戦目は藤井二冠の14手連続の王手を躱して豊島二冠が勝利した。 王手を凌ぎつつ自陣を固めたタイトル保持者と、王手を繰り出しつつ王手前の譜面に留まった挑戦者の時勢の差が出た一局になった。 すぐに又、第三局を迎える。

コンバイン

白熱教室というテレビ番組が四回にわたって、数学の分野間の連結と、物理との連携を流していた。キー概念は数学の「対称性」だった。初耳の話が少なく、論理展開の必然性も希薄だった。難解な理論を、瑞々しい直感で解説してほしかつた。 これはもう書いただ…

掟の壁

藤井二冠が豊島竜王二冠に挑む叡王戦初戦に勝利し、今日が二戦目である。前回の投稿では豊島竜王二冠に「天敵」の肩書を加えたが、三連勝もすればその形容はもはや相応しくない。かねて藤井八段が豊島九段への苦手意識を克服すれば、将棋の階段を一段登ると…

日本柔道 輝きと課題

昨日に引き続き、柔道混合団体戦の話題である。 「立ち尽くす・・」はどうしても頂けません。 世界の二位。皆良く補い合って戦った。自分のためだけでなく、襟を握り、技をかけ、技に耐えた。 そしてめいめい、課題を掴んで終わった。 三年後がある。