マックイーンとブリンナー
映画「荒野の七人」で、ユル・ブリンナーの相棒として出演していながら、そのプリンナーを食ったマックイーンの演技がちょいちょい取り沙汰される。ピカイチは冒頭の霊柩馬車を運ぶシーン。散弾銃に弾を込める時、耳元で弾が湿気っていないか弾の音を確認しながら弾を込める。そして帽子を翳して太陽の位置を確かめる。西部劇ファンを痺れさせる名シーンである。
ここで敢えて一言したい。マックイーンの小味の効いたこの芝居も、隣に黒尽くめのスキンヘッドが不敵に、不愛想に座っているから映えるのである。シーンとしてバランスし、活きるのである。さもなくばぶりっ子マックイーンの過剰芝居に成り下がる。つまり、マックイーンとブリンナーの陰陽分けた共演が、名シーンたらしめて居る。
もう投稿したと思っていたが、検索したら見当たらなかったので、テレビの再放送に合わせて書き留めておきたい。
この時、マックイーン30才、プリンナー40才である。
でっかいお姉さん、子供の目線
シャルダンの「買い物帰りの女中」を、画集で初めて観た印象は「でっかいお姉さんだなぁ」だった。特に下半身がデカイく、スカートがやけに巨大に思えた。本画は高だか長辺47㎝の8号大の作品である。
以来、この小学生の頃の第一印象を長く引き摺って来たのだが、今改めて観ると、この絵は下方から仰観しているのがわかる。子供目線のアングルなのである。だからこの絵に接するたびに今もなお、偶々、台所に迷い込んだ子供の気持ちになり、この女中さんが、身近なお姉さんに思えてくる。
幻想の西洋美術館巡り
一日だったら、ブレラ絵画館かコンデ美術館
一週間だったら、ロンドン・ナショナル・ギャラリーかニューヨーク近代美術館
一か月だったら、メトロポリタン美術館
名立たる世界の美術館。すべて書物での知識。
ファスト番組みたいな・・
カミさんに付き合って朝ドラの「カムカムエブリバディ」を観ていると、小気味よいテンポで嬉しくなる。
ひとつ前の朝ドラが、場面や感情吐露のたびに、役者さんが見つめ合っては時間が止まってしまい、当の役者さんとNHKさんには悪いけれども、「15分番組らしく、サッサと芝居せい!」と思っていた。
「カムカム」は正反対で、少し前にも書いたけれど、令和・21世紀の「ファスト番組」みたいで心地いい。
You are mine.
映画「トップガン」のラスト、アイスマンのセリフについては、既に書いたと思って検索したけれども見当たらなかった。昨夜、久々再放映され、公開から35年を閲してほぼ会心の翻訳だったので、是非書き止めたくなった。
ミグ戦闘機四機を撃墜して、僚機を助け基地に戻ったトム・クルーズのマーベリック大尉に、助けられた機のヴァル・キルマー演ずるアイスマン大尉が浴びせるセリフである。公開当時は、「お前は俺の僚機だ」だったと記憶する。この「僚機」が、字幕で観ても、音声で聞いても意味がはっきりしない。辛うじて“ 仲間の機 ” ことか・・と想像を巡らせたものだ。今回の役ではお互いに命を託せる相手であることがはっきり判るセリフになっている。
アイスマン大尉 「やっぱり危険なヤツだ」
「お前とだったら何時でも一緒に飛ぶ」
(You can my wingman anytime.)
マーベリック大尉 「偉っらそうに、俺もだよ」( Shit! You are mine.)
お涙頂戴式のイニシェ―ション映画なのだが、観るたびにグッと熱くなる。