理論と実験、理論と現実
日本人のノーベル賞受賞で、一番多いのが物理学賞の9人。そこにアメリカ国籍の南部陽一郎、中村修二、そして今回受賞の真鍋淑郎先生を加えれば総勢12人になる。日本は物理大国と言っていい。
物理には、理論物理と実験物理の二ジャンルがあって、車の両輪という。日本人は、初代ノーベル賞の湯川秀樹をはじめ理論物理学での受賞が多く、実験物理での受賞は江崎玲於奈のほか、小柴昌俊、梶田隆章などの各氏である。今回の真鍋先生は理論物理といっていいと思う。
ノーベル賞は基本的に実証された研究に限られ、検証されない理論オンリーでの受賞は難しい。かのアインシュタインのノーベル賞受賞理由も、未解明の相対性理論ではなく、実証済みの光電効果の解明だった。
さて、真鍋先生は受賞後「未来の気候を知りたい」と語っている。どこまでも好奇心旺盛である。けれども実験物理の視点からいうと、未来の気候はかならず実証される。というか、現実として突きつけらる。その時、真鍋先生はどのような感慨を語られるのか。それは興味でも、好奇心の問題ではない。
名誉なり・・
昨日書いた民法浦川道太郎ゼミ。その後、ニ三、思い出したことがある。
浦川教授のドイツ留学先のゲッティンゲン大学は、大学しかないような街で、勉学に集中できたという。グリム兄弟で知られた大学だが、グリムの話はなく、主にビールとソーセージの話をされていた。
鱈チリにあたった話の時には、鱈って元々、水っぽい魚だからね・・、と魚類学まで開陳していた。
さて、このゼミ、閑長の時には大学三年次のカリキュラムだった。その前年、岸田総理の時もコマは三年次だったのだろうか。普通、「ゼミ」とは四年次のゼミのことを言うと思うのだが。もし岸田総理のコマが四年次だったとすると、同じ年、つまり、1981年にそれぞれ四回生、三回生として浦川先生に教わったことになるのだが・・。
浦川教授、今は母校の名誉教授で、司法試験審査考査委員でもあったらしい。あの坊ちゃん先生が “ 名誉 ” 教授とはいささか意外だが、ゼミの卒業生に日本の宰相が生まれ、名誉が更に増えた、という訳である。
不法行為ゼミ
岸田新総理が早大法卒ということは承知していたが、総理指名でウィキペディアをみて、ゼミまで同じとわかって驚いた。民法不法行為 浦川道太郎ゼミ。一年上だから面識はない。
担当の浦川教授はドイツ留学帰りの新鋭、というか坊ちゃん坊ちゃんした先生で、新宿高校卒を売り物にしていた。曰く「社会勉強には打ってつけの高校・・」と。鱈チリで腹痛を起こした話を滔々としていたこともあった。
ゼミ生は不法行為のカテゴリーごとに二人一組でレポート報告し、全員で討論した。運悪く閑長はトップバッターとなり、千葉出身の三〇君と「権利の濫用」を担当、宇奈月事件を材料に発表した。
このゼミ、就職、先輩の引き、ネームバリューの何れにもアドバンテージのない、野心性の低い、消去法的なゼミである。イヤ、であった。閑長は、優のとり易さと講義のコマ時間の手頃感から選択した。少なくとも将来、一国の宰相を狙おうとする人物の選ぶようなゼミではなかった。もしかすると岸田新総理の本質は良くも悪しくも無欲、恬淡なのかもしれない。
統合、表裏一体、弁証法
イギリスの詩人にして画家 ウィリアム・ブレイクは、18世紀から19世紀にかけて、さして目立たず活動した。死後もさほど脚光を浴びることは無かった。
彼の中心思想は、天国と地獄、精神と肉体、理性と情動、そして善と悪の一体視であろう。
夫々が分離しては存在し得ず、裏腹の共存体とした。
対立が意味を持つ、という思想はさながら同時代ドイツの哲学者ヘーゲルの弁証法を思わせる。
西田幾多郎も単なる否定ではなく、包摂する方向を求めたい、と哲学随筆に書いている。
人類の思考ツールの一つに、統合的契機があるように思う。
蜜回避の世相に、統合がもたらすものに期待したい。
ルーツとアイデンティティ
買わずにいられないゴルゴのエピソードに“ルーツ物”がある。
ルーツ物をまとめたブックもあって、架蔵もしているが、エピソードは又どんどん、増えていく。
閑長が妄想するルーツ物エピソードのエッセンスを書き出してみよう。
・日〇混血である。
・混血に至る過程に、歴史と運命、必然と偶然とが大きく作用する。
・父母の片方または両方、もしくは祖先が歴史的著名人である。
・血脈に精神病的、肉体疾患的要素を想定しても良い。
・地球外生物との接触もあり得る。
・バイブル、コーラン、アーサー王伝説、古事記、万葉集等を絡めても良い。
・殺人技能を習得するプロセスに、
奥義、古武道、相伝、組織、血縁、復讐等が複雑に絡まる。
・ルーツを解明するプロセスに、現在のゴルゴの依頼が関わる。
・ルーツを探る人に、憑き物がついたような執念がある。
・ルーツを探る人がゴルゴのルーツ上の人物の子孫であることが判明する。
・ほぼ同じ境遇の兄弟姉妹が存在し、ゴルゴの依頼又は現在と運命的に交わる。
・ 最後にルーツの謎が、アタリ・ハズレ何れとも判明しない。
または新たなルーツの可能性が提起される。
・ゴルゴは自身のルーツを肯定も否定もせず、抹消しようともしない。
・上記のようなエピソードをもつ、ゴルゴ以外の人物が出現する。
その人物がエピローグなど、作中でゴルゴとすれ違う。
最後のエッセンスは番外である。